
自宅と職場を行き来、なーにやってんだろ……
通勤電車の窓に映る自分の顔が、どこか他人のように見えていました。
20代当時の私は、自分に自信が持てず、仕事にやりがいを見出せず、ただ日々をこなすだけ。
「自分なんか……」と口にすることも増えていったけど、それは決して謙虚さからじゃありませんでした。
自分で自分を見下して、さらに自信を失っていく。苦しいループの中にいたのです。
そんな私が、転職をきっかけに自己肯定感を取り戻し、生きやすくなったのはつい数年前のこと。
今では、自分の強みを活かし、必要とされている実感を持ちながら働けています。
この変化の背景には、「希少価値を見出してもらえる環境に身を置いた」ことがありました。
・・・
この記事では、そんな私の経験をもとに、こんなことをお話しします。
- 自分を活かせる場所の見つけ方
- 環境の大切さ
自信をなくしそうなあなたに届きますように。
なにやってんだろ……と虚しかった毎日
当時の私は、IT企業でシステムエンジニアとして働いていました。
周りには、私より学歴が高い同期。部署に入れば、スキルも実績もある先輩ばかりが集合。
新卒で入った私は、自分の強みなんてまったく活かせず、「素人に毛が生えた程度の存在」です。
ITは大学で専攻していたし、それなりに得意だったんですよ。
けれど、職場には「それなりにできる人」がゴロゴロ……。
かといって、好奇心も持てなかったから熱心に学ぶなんてこともない。
マジメに取り組むのは売りだったけど、どれだけ頑張っても埋もれてしまう。
そんな環境の中で、「私なんて……」と、どんどん自信を失っていました。
当時は、「かまいさんは謙虚だよね」と言ってもらえました。
文句も言わず、黙って黙々と仕事をしていたからでしょう。
実際、謙虚ってわけじゃない。
「自分なんか」と卑屈になっていただけでした。
ただ、自分で自分を見下して、ますます自己肯定感を下げてしまう始末。
でも当時の私は、そのことにすら気づけていませんでした。
無職期間に気づいた【自由に生きたい】という本音

このまま何年も同じ会社で働き続けるなんて、ムリだな。
親しい友人や家族に相談することもなく、私は淡々と退職を決意。
なにを言われても、自分の意志を曲げることはないと言い切れるところまで来てしまっていました。
そうして10年近く勤めたIT企業を辞めた私は、しばらく無職になりました。
ニート。しびれる響きです。
浪人やら留年もせず、ストレートに学校を卒業。初めて勤めた会社では、名の知れたお客様とお付き合いがあったのに。そういうプライドは捨てて、流浪の身になったのでした。
朝起きて、今日何をしてもいい。
誰にも指示されない。
そんな生活に少なからず不安はあったけど、心がどこかでホッとしているのを感じました。
無職期間は、ある意味で「本当の自分の声」と向き合えた時間になったのです。
そして気づく。「私、自由に生きたいんだ」って。
でも一方で、自由に生きるには「自己肯定感がないと生きづらい」とも痛感していました。
誰かに認められないと不安になるし、「自分にできることって何だろう」と自問自答ばかり……。
それでも私は、変わることを決意。
もう「自分なんか」なんて言って、自分で自分を否定するのはやめようって。
自由に生きるには、まず自分を信じることから始めないといけない──そう思ったんです。
異業種へ転職。希少価値に気づいた瞬間
無職期間を経て、土木・建築関係の会社に転職。
ITとはまったくの異業種。業界の空気も文化も、正直まったく違いました。
でも、そこで思いがけない“武器”を手にすることになります。
それは、「ITがちょっとわかる人」ってだけで珍しがられること。
Excelの関数が使える。マクロが組める。PCの設定ができる──
IT業界では当たり前だったスキルが、ここでは「すごい!」に変わったのです。
前職では空気のように当たり前だったものが、この会社では通用しません。
「おいおい、マジすか……」と低次元のレベルにイライラすることもあったものの、それ以上に驚きの連発でした。
周りの反応が、明らかに違う……。
やがて、社内の効率化を推進する小さなプロジェクトを任されるように。
最終的には、その部署のリーダー格にまで上がっていきました。
自分では「普通」だと思っていたことが、場所を変えたら価値になる。
埋もれていた力に、スポットライトがパッと当たったようでした。
その瞬間、初めての感情が芽生えます。
「私にもできることがあるかもしれない?」
自己肯定感が勝手に上がっていった理由
異業種に転職してから、私は明らかに変わりました。
……というより、勝手に変わっていったんです。
一番の理由は、やたらと褒められるようになったこと。
前職では、ほとんど聞かなかった言葉たち。
それが、日常的に飛んでくるようになったんです。
もちろん、最初から自信満々だったわけじゃありません。
むしろ、無職期間中は「会社員なんて、くだらねー」と自暴自棄な日々だったし、自分自身の可能性に気付いていませんでした。
だけど、求められている実感が、自然と自分を肯定してくれるんです。
- 必要とされている
- 頼られている
この感覚は、理屈じゃなくて、ものすごく効く。
気づけば、自分で自分を貶めるクセが、薄れていきました。
自己肯定感って、「自分で育てよう」と思ってもなかなか難しい。
いつまで経ってもネガティブな自分との闘いだから。
でも、環境と関わる人が変われば、勝手に育つこともあるんだと知りました。
環境を変えるだけで、人生が変わることがある
自己肯定感が育ったのは、私が頑張ったからじゃありません。
「環境を変えた」──それだけでした。
あのまま前職にいたら、たぶん今も「私なんて……」とつぶやいていたと思います。
どれだけ努力しても、自分の強みが評価されない世界。
苦しさと無力感、ムダなプライドによってずっと押しつぶされていたはずです。
だけど、業界を変えてみたら、周りの反応が変化。
スキルも、やることも、正直そこまで変わっていません。
変わったのは、「それをどう受け取ってくれる人がいるか」だけだったのです。
場所を変えるだけで、自分の価値が見えることがあります。
逆に、自分の価値を知らずに埋もれてしまうことだってあります。
自信がない人ほど、そこで踏ん張らずに、一度「環境を変える」という選択肢を持ってほしい。そう思います。
逃げじゃない。賢い判断です。
「変わる努力」より、「変える勇気」のほうが、人生を変えることもあるから。
「私って何者?」に答えが出なくても大丈夫
自己肯定感が育ってきたとはいえ、次にぶつかったのは「自分の軸がない」ことだった。
こんな問いに、明確な答えなんて出ません。
それでも、考え続ける時間は確実に意味があったと思います。
「好きなことを仕事にしよう」とか、「やりたいことを見つけよう」ってよく聞きますよね。
だけど、そもそも【やりたいこと】って、何もしてなかったら見つからないわけで。
私の場合は
「自由に働きたい」
「場所に縛られたくない」
そんなぼんやりした夢からスタートして、少しずつ輪郭が浮かんできました。
昨日より今日、今日より明日。なにより、成長していたい。
行動してみて初めて、自分の思考グセに気づいたり、苦手に向き合ったりできます。
「やってみたら違った」も大事な発見です。
大切なのは、【見つけること】じゃなくて、【問い続けること】。
自分に向き合い続けることが、少しずつ自分らしさをつくっていきます。
だから、答えが出なくても焦らなくていい。
自分が変われば、答えだって変わるんですから。
過去の自分……読んでくれたあなたに伝えたいこと
自宅と職場を往復して、「なんだかなぁ……」と虚しさを抱えていたあの頃の私へ。
あなたは、自分に価値がないと思い込んでるかもしれないけど、それはただ「今の環境が合ってないだけ」だった。
評価されない場所にいると、自分のよさなんて見えない。むしろ、どんどん自信を削られていく。
でもそれって、あなたがダメなんじゃなくて、ただ場所が違っただけなんだと。
あなたには、ちゃんと力がある。
ただ、それが光る場所を、まだ見つけていないだけ。
怖くてもいい、不安でもいい。思い切って環境を変えてみよう。
【逃げ】なんかじゃない。それは、あなた自身を守るための「選択」だ。
そして、自分に問い続けてほしい。
「どう生きたい?」「何が好き?」「何にワクワクする?」
すぐに答えが出なくても大丈夫。
むしろ、答えはどんどん変わっていく。それでいい。
あなたの未来は、今よりずっと自由で、今よりずっと自分らしい。
その一歩は、「今日感じた違和感」に、ちゃんと気づいてあげることから始まるから。
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